Strymon La Brea Analog Tape Drive|テープサチュレーションを完全アナログで実現
こんにちは、Music Gear Japan 副編集長のNAOTOです。今回は、Strymonの新作ペダル「La Brea Analog Tape Drive」をご紹介します。
このペダルは、同社の人気ペダル「Deco」に搭載されたテープサチュレーション機能に着想を得て、完全アナログ設計で実現した新型ドライブペダルです。10年以上の開発期間を経て完成した La Brea は、デジタル処理を一切排除し、ヴィンテージテープマシンのような温かみのあるサウンドキャラクターを追求しています。
Strymon の完全アナログペダルシリーズ「Series A」の3番目のメンバーとなる本機は、2段階のカスケード接続されたテープステージにより、軽いオーバードライブから完全なファズまで、幅広いサチュレーション表現を可能にします。内部 24V 動作による広いヘッドルームと、位相が揃ったドライ・パスにより、高いサチュレーション設定でも明瞭性と艶やかさを保持する点が、このペダルの大きな特徴です。
Decoから10年、完全アナログのテープドライブペダル
Strymonが12年前にリリースした「Deco」は、デジタルマルチエフェクターながらテープサチュレーション機能を搭載し、多くのプレイヤーに愛用されてきました。その機能に着想を得て、完全アナログ設計でテープの挙動を再現する研究がスタートしたのが、La Breaの開発の出発点です。
StrymonのアナログエンジニアであるJosh Forbesは、Deco開発時にStrymon共同創業者Pete Celiが発表したホワイトペーパーを読んだことをきっかけに、テープサチュレーション回路の完全アナログ化に取り組み始めました。10年以上の試行錯誤を経て、ようやくLa Breaが完成に至ったとされています。
La Breaは、Strymonが立ち上げた新シリーズ「Series A」の3番目のメンバーです。Series Aは、完全アナログ設計を貫くペダルラインで、すでにオーバードライブの「Fairfax」とファズの「Canoga」が発表されています。La Breaはこれらに続く、シリーズの拡張を示す重要な一手です。デジタル処理、MIDI、USB、ファームウェアを一切含まない完全アナログ設計という哲学は、現在のペダル市場において明確な立場表明といえるでしょう。
なぜ今、このようなペダルが必要とされているのか。それは、アンプやギター本来のキャラクターを活かしながらも、デジタル特有の「ハーシュさ」や「人工的な響き」を避けたいというプレイヤーの要望が、着実に高まっているからです。Strymonのマーケティング責任者Sean Halleyは、「テープベースだから決してハーシュにならず、ゲインを上げるとより太く飽和するが、ギスギスしたり耳障りにならない」とコメントしており、アナログテープの物理的な特性がもたらす「丸さ」と「温かみ」が、このペダルの核心にあることが明確です。
マルチステージのテープサチュレーション回路とコントロール
La Breaの技術的な中核は、2段階のカスケード接続されたテープステージにあります。この構成により、軽いシズル感から圧倒的なゲインまで、段階的で自然なサチュレーション特性を実現しています。単一のテープステージではなく、複数段を直列に接続することで、テープ特有のソフトクリッピング特性を多段的に重ねることができ、より豊かな倍音と滑らかなゲイン感を生み出すという設計思想です。
内部動作電圧は24Vに設定されており、これにより広いヘッドルーム、より広いゲインレンジ、そして静かな動作を実現しています。一般的な9V駆動のペダルと比べて、内部で扱える信号の余裕度が大きくなるため、サチュレーション設定を高めてもダイナミクスが失われにくく、クリーンな部分とディストーション領域の移行がより自然になるという利点があります。
La Breaの出力段には、位相が揃ったドライ・パスが装備されています。これは、ドライ信号とウェット信号(処理済み信号)の位相を一致させることで、高いサチュレーション設定でも原音の明瞭性と艶やかさを保持するための機構です。テープサチュレーションを強くかけた場合、単純に処理信号だけを出力すると音が曇りやすくなりますが、位相の揃ったドライ・パスを混在させることで、透明感と厚みの両立が可能になります。
コントロール配置とその役割
La Breaには4つのメインコントロールが配置されています。
- Tape Sat(テープサチュレーション):テープステージへの入力ゲインを調整し、サチュレーションの深さを0から最大まで連続的にコントロールします。低い位置では軽いオーバードライブと自然なコンプレッション、高い位置では重いディストーション、サスティン、ファズテクスチャーを提供します。
- Gain(ゲイン):テープステージの感度を調整し、Tape Satコントロールの効き方を変化させます。このコントロールと連動して、ペダル全体のゲインレンジが決定されます。
- Level(レベル):出力ゲインを独立して調整し、アンプへの信号レベルを最適化します。Tape Satで音色を作った後、Levelで出力レベルを整えることで、アンプとのマッチングを柔軟に対応できます。
- Dry(ドライ):ドライ信号のミックス量を調整し、位相が揃ったドライ・パスの混在比率をコントロールします。これにより、サチュレーション感と原音の透明感のバランスを自在に設定できます。
シフトスイッチとゲインスイッチ
La Breaには2つのフットスイッチが装備されています。
Shiftスイッチ(3ポジション)は、EQの特性を切り替えます。高域のブースト、または高域と中域の両方をブーストするオプションを搭載しており、テープサチュレーションの音色を周波数特性から調整できます。これにより、同じサチュレーション設定でも、明るい響きから厚みのある響きまで、音のキャラクターを変化させることが可能です。
Gainスイッチ(2ポジション)は、テープサチュレーション範囲を通常と高ゲインの2つから選択します。通常ゲインモードでは軽いオーバードライブから中程度のディストーションまで、高ゲインモードではより深いサチュレーションと激しいゲイン領域にアクセスできます。これにより、同じペダルで繊細なドライブから激しいファズまで、プレイスタイルに応じた幅広い対応が実現します。
電源と信号処理
La Breaの電源は9VDC(センターネガティブ)で、最小500mAの供給が必要です。電源アダプタは別売となっています。内部にはカスタムトランスを備えた内部スイッチング電源が搭載されており、これがガルバニック分離を実現しています。ガルバニック分離により、ノイズの混入を最小限に抑えながら、安定した24V内部電圧を維持できます。
入出力は1/4インチのハイインピーダンス入力と1/4インチ出力で、モノラル仕様です。ペダルボード上での配置や接続に際しては、標準的なギターペダルと同じ扱いで問題ありません。
La Breaは真正バイパスを採用しており、ペダルがオフの状態では信号がペダル内部を通らず、ダイレクトにアンプへ送られます。これにより、オフ時の音色劣化を完全に排除し、ペダルボード全体の音質維持に貢献します。
誰に、どんなセッティングで活躍するか
La Breaの活用シーンは、Strymon Decoのサチュレーション側を愛用していたプレイヤーにとって特に有意義です。Decoはマルチエフェクトペダルであり、テープサチュレーション機能はあくまで全体の一部でしたが、La Breaはそのコンセプトを完全アナログで単体化させました。Decoユーザーで「あのテープ感だけが欲しい」と考えていた奏者にとって、La Breaは理想的な選択肢となるでしょう。
テープ特有の温かみと自然なコンプレッション感を求めるギタリストも、このペダルの主要なターゲットです。公式説明によれば、軽いサチュレーション設定では自然なオーバードライブと圧縮感が得られ、高い設定では重いディストーションやファズテクスチャーへと移行します。この連続性により、ジャンルやセッティングを問わず、テープ的な温かみを保ちながら表現の幅を広げられます。
アンプ本来のキャラクターを活かしながら、音に厚みと滑らかさを加えたいプレイヤーにも適しています。位相が揃ったドライ・パスの搭載により、高いサチュレーション設定でも明瞭性が損なわれません。Dryコントロールで原音とのバランスを調整することで、アンプのトーンを損なわず、ペダルの効果を柔軟に統合できます。
また、Strymonの新シリーズ「Series A」(完全アナログペダル)に興味のあるユーザーにとっても、La Breaは注目の一台です。Fairfaxとcanogaに続く3番目のメンバーとして、完全アナログ設計の信頼性とシンプルさを体験する入口となります。
La Breaは2026年9月29日に米国でリリースされ、日本では2026年10月23日の発売予定です。価格は米国で199ドル、日本では税込38,500円となっています。
デモ動画
参考リンク
- La Brea Analog Tape Drive – Strymon
- Strymon La Brea User Manual – Rev A, English
- Introducing La Brea Analog Tape Drive – Strymon
- Strymonが、テープサチュレーションを再解釈したドライブペダル「LA BREA」を10月23日発売!
- Strymon Announces The New La Brea Analog Tape Drive – EIN Presswire
- Strymon Unveils La Brea Analog Tape Drive – Premier Guitar
- Strymon launch the La Brea – Sound on Sound



