Ibanez ICMS721:伝説のアイスマンが7弦マルチスケールで現代に蘇る
こんにちは、Music Gear Japan 副編集長のNAOTOです。今回は、Ibanez Axe Design Labシリーズから登場した7弦マルチスケール・アイスマン「ICMS721-IPT(Iron Pewter)」をご紹介します。
1977年に初登場した伝説的なアイスマンのボディシェイプを、現代のエクステンデッド・レンジ設計で再解釈したこのモデルは、メタル・プログレッシブ系プレイヤーを中心に注目を集めています。27.2インチから25.5インチへのマルチスケール・レイアウト、Fishman Fluence Modernピックアップ、Mono-rail G2ブリッジなど、最新の技術を結集させながら、50年近く前のアイコニックなデザインを現代に蘇らせた意欲的な一本です。
アイスマンは元々、1970年代中盤にIbanezがGibson模倣から脱却し、独自の著作権保護可能なオリジナル・デザインを目指して開発された象徴的なモデル。その歴史的なシルエットと、今日のテクニカルなプレイスタイルの両立を実現したICMS721は、ブランドの過去と未来を繋ぐ存在として、多くのプレイヤーの関心を呼んでいます。
アイスマンの系譜とAxe Design Labの実験的アプローチ
Ibanezのアイスマンは、ブランドの歴史において極めて重要な転換点を象徴するモデルです。1975年の初登場時、Ibanezはまだ欧米ブランドの模倣から完全には脱却していませんでしたが、アイスマンはそうした状況を打破するために開発されました。独自の著作権保護が可能なオリジナル・デザインとして、他のメーカーにはない幾何学的で鋭角的なボディシェイプを採用。1978年に正式に「アイスマン」の名称を得たこのモデルは、その後40年以上にわたってIbanezのアイコンの一つとなり、ロック・メタルシーンを中心に愛用されてきました。
一方、Ibanez Axe Design Labシリーズは2023年1月に導入された、より実験的かつ技術志向のコレクションです。従来のIbanezの設計思想を踏襲しながらも、マルチスケール・ファンド・フレット、高性能ピックアップ、多機能スイッチング・システムなど、現代のエクステンデッド・レンジ・プレイに対応した革新的なスペックを取り込んでいます。このシリーズは、単なる既存モデルの延長ではなく、ギター設計そのものの可能性を問い直す試みとして位置づけられています。
ICMS721は、この二つの文脈が交差する地点に存在します。1970年代に確立されたアイスマンのシルエットと歴史的な重要性を尊重しながら、同時にAxe Design Labの実験的なアプローチを全面的に導入した設計になっています。27.2インチから25.5インチへのマルチスケール配置により、低弦の張力を確保しながら高弦の弾きやすさを実現。Fishman Fluence Modernハムバッカーとプッシュ/プルボリュームによるボイス切り替え機能は、モダン・メタルやプログレッシブ系の多様なサウンド・キャラクターに対応します。Mono-rail G2ブリッジの採用も、7弦全体でのノート・セパレーション向上を狙った、テクニカルなプレイヤーへの配慮です。
つまりICMS721は、アイスマンというレガシーを現代のプレイスタイルに適応させるための、Ibanezの真摯な試みなのです。過去のデザイン言語を尊重しながら、今日のエクステンデッド・レンジ時代に求められる機能性を詰め込んだこのモデルは、ブランドの歴史的な遺産と最新技術の融合を象徴する存在として機能しています。
マルチスケール設計とコンポーネント構成
ICMS721の最大の特徴は、27.2インチ(691mm)から25.5インチ(648mm)へのファンド・フレット配置によるマルチスケール設計です。7弦ギターにおいて低弦の張力を確保することは、チューニング安定性とサステインの観点から極めて重要ですが、同時に高弦の弾きやすさも損なわないという相反する要求に応えるのがこのレイアウトの役割です。最長弦である7弦B(27.2インチ)から最短弦である1弦E(25.5インチ)へと段階的にスケール長を短縮することで、各弦が最適な張力バランスを得られる設計になっています。
ネックは5ピース・メイプル/ウォルナット構成のWizard II-7プロフィールで、高速プレイに対応した薄く速いネック・プロフィールを実現しています。指板はエボニー材で、400mmのラジアスに24本のジャンボフレットが装備されています。視認性を高めるホワイト・ステップ・オフセット・ドット・インレイと、暗い環境での弾き位置確認に便利なルミネセント・サイド・ドットが施されており、テクニカルなプレイを支援する配慮が随所に見られます。ナット幅は48mmで、弦間隔は10.8mmと、7弦楽器としては適切な間隔が確保されています。
ピックアップはFishman Fluence Modern Ceramic 8ハムバッカーがネック・ブリッジに搭載されています。このピックアップの特徴は、1ボリュームコントロールのプッシュ/プル機構によって2つのボイスを切り替え可能な点です。公式の説明によれば、このシステムにより「アグレッシブなアタックと力強い低ノイズ・トーンを提供し、エクステンデッド・レンジの明確性と定義を保つ」とされており、モダンな高出力サウンドと、より流動的でクリーンなレスポンスの両立が実現されています。コントロール系は3ウェイ・トグル・スイッチで、シンプルかつ迅速な切り替えが可能な設計です。
ブリッジはMono-rail G2で、弦スルー・トップロード両対応の仕様になっています。このブリッジの役割は、弦間の干渉を低減し、各弦のクリアなノート・セパレーションを実現することにあります。7弦全体で複雑なコードと個別のノートが定義を保つというICMS721のデザイン目標に対して、このブリッジは不可欠なコンポーネントとなっています。
マシンヘッドはGotoh MG-Tロッキング・マシンヘッドで、チューニング安定性と迅速な弦交換の両立を実現しています。ボディはオコウメ材で、グロス・ポリウレタン仕上げ(アイアン・ペウター)が施されています。オコウメは軽量で、公式説明によれば「明るくソリッドなトーン・ファンデーション」を提供するとされており、7弦全体での音の定義性を支える素材選択となっています。ハードウェアはすべてブラック仕上げで、アイアン・ペウターのボディカラーと調和した外観を実現しています。
付属品としてギグバッグとD’Addario EXL120+.059弦セットが同梱されます。出荷時チューニングは標準的なHチューニング(1E-2B-3G-4D-5A-6E-7B)に設定されており、購入後すぐにプレイを開始できる状態で届きます。製造国はインドネシアです。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| ボディ | オコウメ、グロス・ポリウレタン仕上げ(アイアン・ペウター) |
| ネック | 5ピース・メイプル/ウォルナット、Wizard II-7プロフィール |
| 指板 | エボニー、400mmラジアス、24本ジャンボフレット |
| スケール | 27.2″(691mm)~25.5″(648mm)マルチスケール |
| ナット幅 | 48mm |
| 弦間隔 | 10.8mm |
| ピックアップ | Fishman Fluence Modern Humbucker Ceramic 8(ネック・ブリッジ) |
| コントロール | 1ボリューム(プッシュ/プル:Fluence Voicing切り替え)、3ウェイ・トグル・スイッチ |
| ブリッジ | Mono-rail G2(弦スルー・トップロード両対応) |
| マシンヘッド | Gotoh MG-Tロッキング・マシンヘッド |
| ナット | プラスチック |
| 出荷時チューニング | 1E-2B-3G-4D-5A-6E-7B(標準Hチューニング) |
これらのコンポーネント一つひとつが、エクステンデッド・レンジ・プレイの要求に応える形で選定・構成されています。マルチスケール・レイアウトから指板のラジアス、ブリッジのセパレーション性能まで、ICMS721は7弦ギターとしてのプレイアビリティを徹底的に追求した設計になっているのです。
デモ動画
参考リンク
- Ibanez ICMS721 – Official Product Page
- ICMS721 – Ibanez Fandom Wiki
- Ibanez Axe Design Lab ICMS721-IPT – Sweetwater
- Ibanez ICMS721-IPT – Thomann
- Ibanez ICMS721-IPT – Guitar Center
- Ibanez ICMS721-IPT – イケベ楽器店
- Ibanez Axe Design Lab – Official Series Page
- Ibanez Iceman – Wikipedia



