MXR M226R Flanger/Doubler — 伝説のラック・ユニットがペダルで復活
こんにちは、Music Gear Japan 副編集長のNAOTOです。今回は、MXRの伝説的なラック・ユニット『Flanger/Doubler』をコンパクト・ペダル・フォーマットで復刻した「MXR M226R Flanger/Doubler」をご紹介します。
1976年に発売されたオリジナルのラック・ユニットは、1970~80年代を代表するアナログ・モジュレーション・エフェクトとして、Dimebag DarrellやZakk Wyldeをはじめ数多くのアーティストに愛用されてきました。今回の復刻版は、その完全アナログ回路とコントロール・セットを忠実に再現しながら、CV入出力やInvertスイッチといった現代的な拡張性を備えています。
クラシック・フランジャー/ダブラー・サウンドを求めるプレイヤーはもちろん、シンセサイザーやCV対応デバイスとの連携を活用したい実験的なミュージシャンにとっても、注目の一台となりそうです。
伝説のラック・ユニットがペダルで甦る背景
MXRの『Flanger/Doubler』は、1976年に発売されたラック・ユニットとして、1970~80年代のスタジオ・ワークやライブ・パフォーマンスに大きな影響を与えました。このユニットは1984年のMXR倒産まで製造され、その間に多くの伝説的なアーティストに愛用されています。特にPanteraのDimebag DarrellやZakk Wyldeは、このエフェクトをシグネチャー・トーンの一部として活用し、数々の名盤を彩りました。当時、フランジャーとダブラーの機能を一つのユニットに統合した設計は革新的であり、バケット・ブリゲード・デバイス(BBD)を用いた完全アナログ回路が、温かみのあるモジュレーション・サウンドを実現していたのです。
しかし、ラック・ユニット形式であることから、現代のコンパクト・ペダルボード中心の運用には不便でした。そこでJim Dunlopは、オリジナルの回路とコントロール・セットを忠実に再現しながら、ペダル・フォーマットでの復刻を決断したのです。M226Rは単なる縮小版ではなく、オリジナルの音響特性を保つために完全アナログのBBD回路を採用し、フランジャーモード(0.33~5.5ms)とダブラーモード(14~66ms)の遅延時間範囲を正確に再現しています。
今回のペダル化にあたり、オリジナルの機能セットに加えて、現代的な拡張性も組み込まれました。CV入出力ジャックの搭載により、シンセサイザーやシーケンサー、CV対応エクスプレッション・ペダルとの連携が可能になり、実験的なサウンド・デザインの道が開かれています。また、新たに追加されたInvertスイッチは、湿信号の位相を反転させることで、空洞的なボーカル質感から低域パンチのある音まで、より幅広い音響表現を実現しています。これらの追加機能は、オリジナルの価値を損なわないよう慎重に設計されており、あくまで拡張の選択肢として位置づけられているのです。
コントロール・レイアウトとスペック詳解
M226Rの物理的なレイアウトは、オリジナルのラック・ユニットの機能を忠実に再現しながら、ペダル・フォーマットに最適化されています。本体サイズは127mm(W)×92mm(D)×60mm(H)で、標準的なコンパクト・ペダルよりもやや大きめですが、ペダルボード上での設置は十分に現実的です。重量は約454gと軽量で、携帯性にも優れています。
フットスイッチはOn/Bypassの単一構成で、トゥルー・バイパスを搭載しているため、オフ時に信号経路から完全に除外されます。その横に配置された5つのコントロール・ノブが、M226Rのサウンド・メイクの中核を担っています。
5つのコントロール・ノブの役割
- Manual:フランジャーモードにおける基本的なディレイ・タイムを設定します。このノブで中心周波数を決定することで、エフェクトの音響特性が大きく変わります。
- Width:モジュレーション・レートの振幅(深さ)を調整します。浅い設定では微妙なシマーが得られ、深い設定では劇的なジェット・エンジン音が実現します。
- Speed:LFOの速度を制御し、0.025Hz~18.5Hzの広いレート範囲をカバーしています。この広大なレート範囲により、ゆっくりとした呼吸感のあるモジュレーションから、高速なトレモロ的な効果まで対応可能です。
- Regen:フィードバック量を調整するコントロールで、微妙な輝きから深いウーシュまで、エフェクトの自己共鳴度を設定できます。高い値に設定すると、オリジナルのラック・ユニットで特徴的だった厚みのあるサウンドが得られます。
- Mix:ドライ信号とウェット信号のバランスを調整します。0%でドライ・シグナルのみ、100%でウェット・シグナルのみとなり、部分的なブレンドにより自然なモジュレーション効果も実現できます。
機能スイッチと拡張性
ノブの下には2つの機能スイッチが配置されています。Doubler Buttonは、フランジャーモード(0.33~5.5ms)とダブラーモード(14~66ms)を切り替えるもので、この2つのモード間の遅延時間範囲の違いが、全く異なるサウンド・キャラクターを生み出します。フランジャーモードは金属的で空間的な効果に特化し、ダブラーモードはビブラート、コーラス、スラップバック・ディレイから不気味なピッチ・ベンド・フィードバックまで、より多層的なテクスチャーを生成できます。
Invert Buttonは、湿信号の位相を反転させるスイッチです。これにより、空洞的なボーカル質感から低域パンチのある音まで、同じパラメータ設定でも大きく異なる音響特性が得られます。この機能はオリジナルのラック・ユニットには搭載されていなかった新機能で、現代的なサウンド・デザインの自由度を大幅に拡張しています。
入出力とゲイン・ステージング
入出力は標準フォーン端子で構成されており、Instrument/Line Levelスイッチにより、ホット・シグナルのヘッドルームを確保できます。Instrumentモード時の最大入力レベルは0dBu、Lineモード時は+12dBuとなっており、入力インピーダンスもそれぞれ異なります。この柔軟なゲイン・ステージングにより、ギター直結での使用からコンソール・ライン・レベルでの使用まで、幅広い運用シーンに対応できます。
CV入出力による外部連携
M226Rの最大の拡張性は、CV入出力ジャックの搭載にあります。CV Outジャックからは0~5Vの制御電圧が出力され、LFOの動きをシンセサイザーやシーケンサーなどの外部デバイスに送信できます。逆にCV Inジャックは0~5Vの外部制御電圧を受け入れ、エクスプレッション・ペダルやシーケンサーからのコントロール信号でパラメータを動的に変調させることが可能です。この連携により、M226Rは単なるエフェクター・ペダルではなく、モジュレーション・シンセシスの一部として機能します。
電源とコンパクト性
電源は9V DC センター・ネガティブの外部アダプタ(別売)で、消費電流は160mAです。バッテリー駆動には対応していないため、スタジオやライブ・セッティングでの安定した運用を想定した設計となっています。この電力消費量は、ペダルボード用の複数出力パワー・サプライでも十分に賄える範囲です。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| フランジャー遅延時間 | 0.33~5.5ms |
| ダブラー遅延時間 | 14~66ms |
| LFO Rate | 0.025Hz~18.5Hz |
| CV範囲 | 0V~5V |
| 入力インピーダンス(Instrument) | >220kΩ |
| 入力インピーダンス(Line) | >220Ω |
| 出力インピーダンス(Instrument) | <1kΩ |
| 出力インピーダンス(Line) | <200Ω |
| 最大入力レベル(Instrument) | 0dBu |
| 最大入力レベル(Line) | +12dBu |
| 電源 | 9V DC センター・ネガティブ、160mA |
| サイズ | 127mm(W)×92mm(D)×60mm(H) |
| 重量 | 約454g |
| バイパス方式 | トゥルー・バイパス |
このスペック・セットは、オリジナルのラック・ユニットの音響特性を保ちながら、現代のペダルボード・ワークフローに対応させるための綿密な設計を反映しています。完全アナログのBBD回路と相まって、M226Rは単なる復刻版ではなく、1970~80年代のクラシック・サウンドと21世紀のモジュレーション・シンセシスを融合させた製品として機能するのです。
サウンド傾向と使いどころ
公式説明によれば、フランジャーモードは金属的なジェット・エンジン音から繊細なシマーまで幅広い表現が可能です。ダブラーモードではビブラート、コーラス、スラップバック・ディレイから不気味なピッチ・ベンド・フィードバックまで、多層的なテクスチャーを生成できます。Regenコントロールで微妙な輝きから深いジェット音のようなウーシュまで調整でき、Invertスイッチで位相反転させることで空洞的なボーカル質感から低域パンチのある音まで変化させられます。
1970~80年代のクラシック・フランジャー/ダブラー・サウンドを求めるギタリスト、ベーシスト、シンセシストにとって、M226Rは本格的なアナログ・モジュレーション・エフェクトをペダルボード上で実現する選択肢となります。Dimebag Darrell風のトーン・シックニング・エフェクトを常時オンで使用したいプレイヤーや、CV対応デバイスとの連携を活用したい実験的なミュージシャンにも適した一台です。
デモ動画
参考リンク
- MXR® FLANGER/DOUBLER
- MXR M226R Flanger Doubler – Reverb
- MXR M226R Flanger/Doubler – Collar City Guitars
- MXR M226R Flanger/Doubler – Klundert Music
- MXRから、音を分解し再構築するグラニュラーシンセエンジン「M310」と、伝説のラックユニットをペダルで再現した「M226R」が発売!
- MXR reboots its 1970's Rack Unit Flanger/Doubler, now in reissued mid-size pedal enclosure format
- MXR Revives Dimebag Darrell's Flanger/Doubler as a Pedal
- MXR M226R FLANGER/DOUBLER – 三木楽器
- MXR M226R Flanger/Doubler – Soundhouse



