Walrus Audio Lüm Texture Engine — グラニュラーリバーブの新境地
こんにちは、Music Gear Japan 副編集長のNAOTOです。今回は Walrus Audio の Lüm Texture Engine をご紹介します。
このペダルは、Walrus Audio が開発してきた Slö Reverb、Lore Reverse Reverb、Fable Granular Generator といった複数のアンビエント系ペダルの要素を統合したグラニュラーリバーブです。2025 年 9 月に限定版(世界 600 台)として発売されると即座に完売し、その後 2026 年 7 月に常設製品として再登場しました。
信号を細かい「グレイン」に分割し、複数のリバーブアルゴリズムで包み込むことで、きらめくアンビエントテクスチャーから実験的なサウンドスケープまで、幅広い音響効果を生成できます。Stretch Engine による時間軸の伸縮や、Moment フットスイッチによるリアルタイムオートメーションなど、ライブパフォーマンスでの表現力を高める機能も備えており、ショーゲイズやポストロック、フィルムスコアリングなど、複雑なテクスチャーを求める奏者から注目を集めています。
Walrus Audio のアンビエント系ペダルが一つに
Walrus Audio は過去数年にわたり、アンビエント系のペダルを段階的に開発してきました。Slö Reverb はリバーブの基本となるアルゴリズムを提供し、Lore Reverse Reverb はリバースリバーブの可能性を追求し、Fable Granular Generator はグラニュラー処理による有機的なテクスチャーを実現してきました。これらはそれぞれ独立した製品として多くのプレイヤーに支持されてきましたが、Walrus Audio はこれら 3 つのペダルに搭載された要素を統合する新しい楽器を構想していました。
Lüm Texture Engine は、その統合の結果です。Slö の深いリバーブアルゴリズム、Lore のリバース機能、Fable のグラニュラー処理を一つのペダルに凝縮し、より複雑で多層的なサウンドデザインを可能にしました。
2025 年 9 月の初回発売は限定版(世界 600 台)として実施されました。その即座の完売は、アンビエント系ペダルへの市場の需要がいかに高いかを物語っていました。Walrus Audio はこの反応を受けて、2026 年 7 月に常設製品として Lüm Texture Engine を再発売することを決定しました。Matte Black と Guava Gloss の 2 色展開で、Emily Ursä による独占的なアートワークが施されています。限定版から常設化への移行は、このペダルが一時的なニッチ製品ではなく、Walrus Audio のコア製品ラインアップの一部として確立されたことを示しています。
3つのテクスチャーモードと Stretch Engine の仕組み
Lüm Texture Engine の中核をなすのは、3つのテクスチャーモードと Stretch Engine です。モード切り替えは 3 ポジションスイッチで行い、それぞれ異なるグラニュラー・リバーブの動作原理に基づいています。
Grain Cloud モード
公式説明によれば、Grain Cloud モードはフィードバックディレイラインから読み込んだ 2 つのグラニュラータップによって、きらめくグラニュラーテクスチャーを生成します。入力信号を細かいグレインに分割し、それらを異なるタイミングで再生することで、シマーやスパークルのような浮遊感のあるサウンドを実現します。Decay、Filter、Mix の各ノブで密度と色合いを調整でき、X ノブでグレインの特性をさらに微調整できます。
Grain Verb モード
公式説明によれば、Grain Verb モードはリバーブアルゴリズムのディレイメモリから読み込んだグレインを濃密なリバーブで包み込み、「グレインがリバーブで風呂に入ったような」音響効果を生成します。このモードは Slö Reverb の深いリバーブ特性と Fable Granular Generator のグレイン処理を統合したもので、アンビエント音楽やドローンの制作に適しています。
Forward/Reverse Verb モード
公式説明によれば、Forward/Reverse Verb モードはフォワードリバーブをリバースリバーブに遷移させることで、リズミカルで進化するサウンドスケープを生成します。Lore Reverse Reverb の逆行する時間軸の概念を取り入れており、リバーブの尾が前へ進むのか後ろへ進むのかを動的に変化させます。このモードは実験的なサウンドデザインやフィルムスコアリングで特に有効です。
Stretch Engine による時間軸の伸縮
Stretch Engine は、Lüm Texture Engine の最大の特徴の一つです。Stretch ノブにより、サンプルレートを 0.5x~2x の範囲で調整できます。この機能はグレインサイズ、リバーブディケイ、フィルタートーンに劇的な影響を与えます。0.5x に設定すればグレインが拡大し、ディケイが長くなり、より深く沈み込むようなサウンドになります。一方 2x に設定すればグレインが圧縮され、ディケイが短くなり、より密度の高い、きらめくテクスチャーになります。
Moment フットスイッチとオートメーション
Moment フットスイッチは、Decay、Filter、Mix、X、Stretch の 5 つのコントロールのいずれかを自動化します。フットスイッチを踏むと、選択されたパラメータが設定した目標値へ自動的に移動し、Ramp 切り替えで 10ms、1000ms、5000ms のグライド時間を選択可能です。これにより、ライブパフォーマンス中に両手がふさがっていても、足元でリアルタイムにサウンドを変化させられます。
プリセットとバイパスモード
Lüm Texture Engine は、3 つのオンボードプリセット(赤、緑、青 LED で識別)を備えており、各プリセット間でシームレスなプリセットモーフィング機能を備えています。バイパスモードは 2 つから選択でき、Trails モードは自然なディケイを保ちながらペダルをバイパスし、Instant Cut モードは即座に信号をカットします。バッファードバイパスを採用しているため、ペダルをバイパスした際も信号強度が維持されます。
電源と接続仕様
Lüm Texture Engine は 9VDC センターマイナスの電源を使用し、最小 100mA を消費します。電源アダプターは別売りです。入出力は 1/4 インチ TS フォノジャックで、入力インピーダンス 1M Ohm、出力インピーダンス 100 Ohm に設定されています。サイズは 121mm × 66mm × 35mm(ノブを含む)で、重量は 295g です。ボードへの搭載性も良好です。
デモ動画
参考リンク
- Walrus Audio – Lüm Texture Engine
- WALRUS AUDIO Lum Texture Engine [WAL-LUM] – イケベ楽器店
- Walrus Audio Lüm Texture Engine – Reverb.com
- Walrus Audio Lüm Texture Engine – Sweetwater
- Walrus Audio launches the Lüm Texture Engine – MusicRadar



