エレキベース

iZotope Ozone 12:AI駆動のマスタリングスイート、3つの新モジュールで可能性を拡張

iZotope Ozone 12
webmaster

こんにちは、Music Gear Japan 編集長のKANです。今回は、2025年9月3日にリリースされたiZotope Ozone 12をご紹介します。

Ozone 12は、24年の歴史を持つマスタリングプラグインスイートの最新版です。Stem EQ、Bass Control、Unlimiterという3つの新モジュールの追加により、マスタリングの自由度と精密性が大幅に向上しています。特にStem EQはミックスセッションに戻らずにボーカルやドラムなどの個別要素を調整できる点、そしてUnlimiterは過度に圧縮されたオーディオのダイナミクスを復元する業界初の機能として、プロフェッショナルなマスタリングワークフローに新しい可能性をもたらします。

加えて、新しいIRC 5 Maximizerアルゴリズムとカスタマイズ可能なMaster Assistantフローにより、AIの支援を受けながらも完全なクリエイティブコントロールを保つことができるようになりました。マスタリング初心者からプロフェッショナルエンジニアまで、幅広いユーザーが恩恵を受ける設計になっています。

Sponsored Link

24年の進化系:Ozone 11からの主要な追加機能

iZotope Ozoneは24年にわたるマスタリングプラグインの歴史を重ねてきました。前モデルのOzone 11では、Clarity、Stem Focus、Transient/Sustainモード、Upward Compress、Assistive Vocal Balanceといった機能が導入され、AIアシスタンスの基盤が整備されていました。Ozone 12はこの土台の上に、3つの新モジュールと進化したAIフロー、新しいリミッティングアルゴリズムを加えることで、マスタリングの可能性をさらに拡張しています。

最初の新モジュールStem EQは、ステレオマスターファイル内でボーカル、ドラム、ベース、楽器を個別にEQ処理できる機能です。従来のマスタリングワークフローでは、細かい調整が必要になった場合、ミックスセッションに戻って再度マスタリングプロセスを実行する必要がありました。Stem EQはその手間を削減し、マスタリング段階での精密な微調整を可能にします。

次のBass Controlは、機械学習を活用した低域専用モジュールです。あらゆるリスニング環境で力強い低域を実現することを目的としており、ヘッドフォン、スピーカー、カーオーディオなど異なる再生環境での低域の安定性を確保します。低域の再現性はマスタリングの重要な課題であり、このモジュールはプロデューサーやエンジニアの悩みに直接応える設計になっています。

Unlimiterは、業界初となる過度に圧縮されたオーディオのダイナミクスと立ち上がりを復元するモジュールです。現代のミックスは圧縮が深くかかることが多く、マスタリング段階で失われたダイナミクスを取り戻すニーズが高まっていました。このモジュールはそうした課題に対する実践的な解決策を提供します。

AIアシスタンスの面では、Master Assistantフローがカスタマイズ可能になりました。従来のMaster Assistantはプリセット的な動作をしていましたが、Ozone 12ではジャンルターゲット、使用するモジュール、LUFS設定を自由に選択できます。これにより、AIの提案をベースにしながらも、ユーザーの意図をより正確に反映させたマスタリングが実現します。

また、IRC 5 Maximizerの新しいリミッティングアルゴリズムは、ポンピングや歪みを排除しながらラウドネスを確保する透明性を追求しています。公式の説明によれば、従来のバージョンでは高いLUFSを目指す際に音が圧縮感を帯びることがありましたが、新アルゴリズムはより開放的でクリアなマスターを実現するとされています。

Advanced版には20個のプロフェッショナルモジュールが搭載されており、これらは個別プラグインとしても使用可能です。加えて、25のジャンルターゲットが新たに追加され、適応型インテリジェントマスタリングEQで音のバランスを自動調整する精度も向上しています。ユーザーインターフェースも刷新され、洗練された直感的なデザインと新しいカラーパレットが採用されました。

プラグイン形式・対応DAW・システム要件の全体像

Ozone 12は、AAX、AU、VST3の3つのプラグイン形式に対応しています。VST3への統一は、iZotopeが業界標準の進化に合わせた判断です。VST2のサポートは終了となりました。これは64ビット環境への完全移行を意図したもので、より安定したパフォーマンスと将来的な拡張性を確保するための決定とされています。

対応DAWは極めて広範です。Logic Pro 10.8以上、Pro Tools 2024~2025、Ableton Live 12、Cubase 14~15、Nuendo 14、Studio One 7、Reaper 7、FL Studio 24~25、Reason 13、Adobe Audition CC 2025、Premiere Pro CC 2025、Native Instruments Maschine 3など、主要なDAWのほぼ全てをカバーしています。これにより、どのワークフローを採用しているプロデューサーやエンジニアでも、Ozone 12を統合できる環境が整備されています。

macOSの対応状況

macOS側の対応は、Ventura 13.7、Sonoma 14.7、Sequoia 15.4以上となっています。IntelプロセッサとApple Silicon(M-series)の両方に対応しており、近年のMacユーザーの環境を幅広くサポートしています。Sequoiaへの対応も確認されているため、最新のmacOS環境でも安定して動作することが期待できます。

Windowsの対応状況

Windows環境では、Windows 10(22H2以上)とWindows 11(24H2以上)に対応しています。いずれも最新のメジャーアップデートバージョンが要件となっており、セキュリティと安定性を重視した設定になっています。

エディション別の構成

Ozone 12は、Elements、Standard、Advancedの3つのエディションで展開されています。Advanced版は20個のプロフェッショナルモジュールを搭載し、これらのモジュールは個別プラグインとしても独立して使用可能です。各エディションの詳細な機能比較については、公式サイトで確認することをお勧めします。

VST2の廃止は、プラグイン標準の進化を反映した決定です。既存のVST2環境を使用しているユーザーは、DAWのアップデートやVST3への移行を検討する必要があります。ただし、対応DAWの幅の広さを考えると、ほとんどのユーザーは既存環境で問題なく導入できるでしょう。

3つの新モジュールの役割と使いどころ

Ozone 12の最大の特徴は、3つの新モジュール——Stem EQ、Bass Control、Unlimiter——の追加です。これらはマスタリングの最終段階での精密な調整を可能にします。

Stem EQで個別要素を微調整

Stem EQは、ステレオマスターファイルを分析し、ボーカル、ドラム、ベース、楽器といった個別の音響要素を識別して、それぞれに対して独立したEQ処理を施すモジュールです。通常、マスタリングの段階でボーカルだけを少し明るくしたい、あるいはドラムの低域を調整したいという場面では、ミックスセッションに戻る必要がありました。Stem EQはそのワークフローを短縮し、マスタリングプラグイン内で直接的な微調整を実現します。特に、クライアントからの細かなリクエストに応える際や、複数のミックスバージョンを素早く調整したいシーンで威力を発揮します。

Bass Controlが環境依存性を排除

Bass Controlは、機械学習を活用した低域専用モジュールです。リスニング環境によって低域の聞こえ方は大きく変わります。小さなスタジオ、大きなホール、ヘッドフォン、カーオーディオ——どの環境でも力強く安定した低域を実現することは、マスタリングエンジニアの永遠の課題です。Bass Controlは、あらゆるリスニング環境で一貫性のある低域を提供するよう設計されています。低域の不確実性を排除したいエンジニアや、複数の環境での確認が難しい状況にあるプロデューサーにとって、信頼性の高いツールになります。

Unlimiterで過度な圧縮を復元

Unlimiterは、業界初の機能を謳うモジュールです。現代のマスタリングでは、ラウドネス競争や過度なコンプレッションの結果、オーディオが圧縮感を帯びることがあります。Unlimiterは、既に圧縮されたオーディオのダイナミクスと立ち上がりを復元し、より自然な音響特性を取り戻します。クライアントから受け取ったミックスが過度に圧縮されていた場合、あるいは以前のマスターをリマスターする際に、このモジュールの出番があります。

Advanced版の20モジュール構成と25ジャンルターゲット

Advanced版には、新3モジュールを含む合計20個のプロフェッショナルモジュールが搭載されています。これらのモジュールは個別プラグインとしても使用可能で、柔軟なワークフロー構築が可能です。さらに、新たに追加された25のジャンルターゲットにより、Master Assistantはジャンル固有のマスタリング特性をより正確に提案できるようになりました。適応型インテリジェントマスタリングEQは、ジャンル選択に応じて音のバランスを自動調整し、ユーザーの意図をより正確に反映させたマスタリングが実現します。

刷新されたユーザーインターフェース

ユーザーインターフェースも刷新されました。洗練された直感的なデザインと新しいカラーパレットの採用により、長時間のマスタリング作業における視認性と操作性が向上しています。複雑な機能を備えながらも、初心者から上級者まで直感的に操作できる設計を目指したものとされています。

デモ動画

What's new in Ozone 12, your complete mastering suite | iZotope(iZotope, Inc.)

参考リンク

Xからの読者コメントをお待ちしています。
ブログ更新の励みになります!
Facebookでのコメントをお待ちしています。
ブログ更新の励みになります!
Sponsored Link
ABOUT ME
Music Gear Japan
Music Gear Japan
編集部
KAN
Music Gear Japanの編集長であり、サイト全体のコンテンツと方向性を監督しています。彼の情熱は、最新の音楽機材からクラシックな楽器まで、幅広い音楽の世界に広がっています。読者に対して深い洞察と実践的なアドバイスを提供することを目指しています。

NAOTO
副編集長のNAOTOは、音楽プロデューサーとしての経験を活かし、Music Gear Japanのコンテンツ制作をリードしています。彼は特にデジタル音楽機材と最新の音楽テクノロジーに精通しており、常に最先端の情報を提供することに力を入れています。読者に対して革新的で有益な情報を届けることです。
Sponsored Link (Multiplex)
記事URLをコピーしました